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福本ヒデ直伝! ウィズコロナ時代の「アート」の嗜み方

「予習」が美術鑑賞を楽しくさせる

特集 ウィズコロナ時代を楽しく生きる 2020.9.01

取材・文:花塚水結

コロナ禍によって奪われてしまった、日常。娯楽や趣味も思うように楽しむことができなくなってしまいました。しかし、この第2波の真っ只中、ウィズコロナで楽しむ方法を考えれば、ハッピーになると思いませんか?

今回はウィズコロナでアートを楽しむ方法を、時事ネタを笑いに昇華させる社会風刺コント集団ザ・ニュースペーパーの福本ヒデさんにお伺いしました。美術の鑑賞はもちろん、作品を描いて個展を開いたり、美術について解説する動画配信をしたりと、とにかく美術が大好きな福本さん。そんな福本さんによる“福本アート講座”の開講です!

 

美術館はコロナ禍に適した施設

花塚:コロナ禍の前後で、美術館の利用方法に変化はありましたか?

福本:そうですね。美術館へ入館するために、事前予約制になりました。美術館によって異なるかもしれませんが、1日に入館できる人数が決まっているんです。
たとえば、国立新美術館だと、時間帯で入館できる人数が決まっていて、その範囲内であればチケットを予約することができます。サイトにはっきりと「この時間帯は残り何人」というふうに書いてあってわかりやすいですし、スマホやパソコンで簡単に予約できますよ。

花塚:入館できる人数が決まって入れば、混雑も避けられて安心ですね。

福本:はい。当日でも予約できることがあるので、時間が空いたときにスマホからその日の空いている時間帯を確認して、気軽に予約することもできます。

花塚:思い立ったときに行くことができるんですね。

国立新美術館

福本:また、当日予約だと「日時指定券(無料)」という選択肢があって、枠を抑えておくことだけもできます。お金は美術館の窓口で支払えばいいんです。

花塚:外出先で「今日美術館に行こうかな」と思ったときに予約できて、とても便利ですね。

福本:はい。「日時指定観覧券」を選択してクレジットカード番号を入力すれば、その場で決済もできるのですが、外出先でクレジットカードを出すのに抵抗がある人もいらっしゃると思いますし。
ただ、基本的に「美術館へ行こう」と思う日は前々から計画を立てることが多いじゃないですか。だから、混雑を避けて予約できるサービスは、とてもいいと思っています。

花塚:コロナ禍に限らず、ゆっくり作品を見るうえでもいいですね。
アートの楽しみ方について変化はありましたか?

福本:うーん。楽しみ方は変わらないかな。
舞台とかだと、どうしても演者の飛沫が飛んだりするんですよね。でも、作品から飛沫は飛んでこないでしょう?(笑)

花塚:飛んできませんね(笑)

福本:ほかにも、野球観戦だったら「いいぞー!」とか「今の打てただろー!」とか大声を出して応援するのが醍醐味じゃないですか。今は声を出さずに応援するというふうに、変化しましたが。

花塚:野球のテレビ中継を見ましたが、観戦している人たちは、せいぜい応援のボードを掲げているくらいでした。

福本:でも、美術展では声を出しません。いくらゴッホが好きだとしても、ゴッホの絵画の前で「よっ、ゴッホ!」なんていわないじゃないですか(笑)

花塚:いわないです(笑)。でも、いってみたい!「ゴッホ、いい色出てるぞー」とか(笑)

福本:たしかに出ているけどね(笑)。まあ、なんにせよ、口に出してはいいませんよね。作品と自分との対話なのでね。ですから、美術館は「密を避けて安全に楽しめる場所」だと思いますよ。

 

家でもアートを楽しむことができる

花塚:美術館に出向かなくとも、お家でもアートを楽しむ方法はありますか?

福本:それであれば、おすすめがありますよ! 学芸員さんがYouTubeにアップしている、作品の解説動画を見ることです。学芸員さんは美術品の研究などをしている人たちですから、知識の量がものすごく多いんですよ。

花塚:専門家のお話がYouTubeで見れてしまうわけですね……!

福本ヒデさんのYouTubeチャンネル「福本ヒデ美術館」。絵画や美術展などの解説をコミカルに解説してくれる

福本:そうです。普段は学芸員さんたちとお話できる機会はないですから、とても貴重だと思いますね。
それから、テレビを観るのもいいと思います。

花塚:テレビの美術番組というと、限られるような気もしますが……。

福本:意外とたくさんありますよ。
僕が好きなのは、「日曜美術館」(NHK)。作家の小野正嗣さんが司会をやられていて、美術館の館長さんをゲストに呼んだり、作品の鑑賞ポイントなどを紹介してくれたりします。

花塚:館長さんも出演されることがあるのですね!

福本:はい。以前、リニューアルした美術館の館長さんが出演して、リニューアルの秘話などをお話していたのですが、美術の最前線にいる人たちのトークショーは、なかなかチケットが取れなくて……。でも、そのような人たちのお話が聞ける、素晴らしい番組です。

花塚:初心者には少しハードルが高いですか……?

福本:いえ、そんなにむずかしいことはお話しされていません。だから気軽に楽しめると思いますよ。
番組では絵画以外にも、仏像や工芸品など幅広く扱っていますが、だからこそ興味を広げられます。日本にある名画の解説を見て、「こういうのもあったんだ」と、知識も増えますしね。

福本ヒデさん

花塚:なるほど、興味を広げる楽しみもあるのですね。
ほかに美術を楽しむテレビ番組はありますか?

福本:「ぶらぶら美術・博物館」(BS日テレ)なんかもいいですね。山田五郎さんが解説をしてくれるんですが、それにおぎやはぎのお2人がツッコミを入れるという(笑)。高橋マリ子さんも出演されていて、美術にあまり興味がない方でも、とてもコミカルに観られる思いますよ。

花塚:美術のことを知らなくても十分楽しめそうです。

福本:はい。それから、「新美の巨人たち」(テレビ東京)、「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」(TOKYO MX)とか。こうしてあらためて挙げていくと、、美術の番組は多いですね。

花塚:たしかに! 今度、観てみます!

 

美術を楽しむコツは「予習」すること

福本:それから、もうひとつ、家での楽しみ方があると思っています。

花塚:なんですか?

福本:図録を買うことです。

花塚:図録は、美術展で展示されている作品が写真で収録された図鑑のようなものですよね。

福本:はい。美術館ではもちろん、コロナ禍などの理由で中止になってしまった美術展の図録をホームページで販売していることがあるんです。
美術展は学芸員さんたちの研究の成果でもありますから、図録は必ず制作されます。写真も限りなく本物に近い見栄えで撮影されていて、きれいですし。美術展の全作品が収録されていて、本としても高いクオリティーなので、とても価値のあるものだと思います。

花塚:実際に行った美術展の作品も、後から図録を見て振り返ることもできますしね。

福本:そうなんです。図録は、作品を「眺める」楽しみがあるんですよ。説明書きを読んで楽しむのもいいのですが、それ以上に、写真を眺めて「この作品いいなぁ~!」と、感じられるところがいいと思いますね。

花塚:図録を眺めている時間は、その作品を独り占めできますからね。

福本:はい、本当に贅沢な時間だと思います。
今、アメリカとかではどんどん美術館が潰れているんですよ……。だから、美術館を応援するという意味でも、もちろん作品を眺めるという意味でも、図録を購入してみるのはおすすめですね。

花塚:図録が1冊あれば、家でも存分にアートが楽しめますね。

福本:そうですね。
僕は、美術を楽しむコツは「予習」だと思うんですよ
たとえば、「どんな絵が来る」「どうしてこの絵が来るのか」「この絵は誰が描いたもので、描かれた背景にはこんな理由がある」とかね。こうした情報をしっかり知っておいて、本物を見たときに「これだ!」という気持ちになると思うんです。

アベ首相の扮装をした福本ヒデさん。アベさんが美術好きかは……知らないが、嫌いではなそうな気はする。ちなみに福本さんがお描きになった、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」ならぬ「火に油を注ぐ女」。アベさんの奥さんがご覧になって、笑っていたそうだ。自覚はあるらしい(この作品は、福本さんのご著書『永田町美術館』に収録されています。ぜひご覧ください!)

花塚:それまで本やインターネットなどの「画像」で見ていたものを、目の当たりにすると感動します。

福本:そうなんですよ。よくね、「私は事前に調べないで見るほうだから」という人もいるんですが……。それだと「え、これ誰の絵? ゴッホの絵? これを見に来たの?」となってしまうんですよ。
テレビに出るお笑い芸人も、知っている人がおもしろいことをいうから笑えるわけです。知らない人が出てきても「この人は誰だ?」というところからのスタートになってしまう。そうすると、ネタをやり始めた最初の時間は、純粋には楽しめないですよね。それと一緒だと思います。

花塚:なるほど! 何事も、事前に知っておくと楽しみの幅が広がりますよね。

福本:はい。だから、むやみに出かけられない今はチャンスだと思います。
これから始まる美術展で行きたいものや見たい作品をピックアップして、テレビの特集を見たり、YouTubeを見たり、ホームページを見ておくといいですよ。
そうすれば、外出する日の狙いを定めて短時間で済ませることもできますから、密も避けることができるんじゃないかな。

花塚:本当はじっくり見たいところですが、この時期ですから、美術館での滞在時間を短縮することも大事ですね。

福本:そうして新しい生活様式を取り入れながら、アートを楽しめばいいと思いますよ。

 

福本ヒデが所属する社会風刺コント集団ザ・ニュースペーパーの公演が見たい!

今回お話いただいた福本ヒデさんが所属する、社会風刺コント集団ザ・ニュースペーパーの公演が見たい! と思った方に朗報です!!
10月24・25日にザ・ニュースペーパーの公演が決定しました。チケットは9月11日から予約できます。

時事ネタをテーマに、笑えるコントが繰り広げられます。興味のある方は、ぜひ観劇してみてはいかがでしょうか?

ザ・ニュースペーパー in 有楽町
~コロナに負けないリベンジ編~

会場:有楽町朝日ホール(有楽町マリオン11階)

公演日時:2020年10月24日(土)①13時30分開演、②17時開演
25 日(日)13時30分開演

チケット販売日程:9月11日(金)から

チケットのお問い合わせ:ハンプトンジャパン

 

 

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福本ヒデ

社会風刺コント集団ザ・ニュースペーパーのメンバー。幅広い役づくりでさまざまな政治家キャラを演じ、アベ首相、ノダ前首相、ハトヤマ元首相、アソウ元首相と4代の首相役をこなす。趣味の美術を生かし、個人として個展や美術イベントも開催している。 著書に『永田町美術館』(ワニブックス)などがある。 http://www.t-np.jp/
福本ヒデ