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【藤原民子さん・62歳】60代こそ好奇心を持って生きる

好きなこと、気持ちのいいことをして過ごす

連載 60年、酸いも甘いも讃えたい 2021.8.07

サムネイル写真:​​鳥居奈津子(Photo STUDIO apex)
取材・文:出口夢々

60年生きた女性にはいろいろな人生がある。そして、女性一人ひとりはそれぞれ自分の人生を背負い、生きている。若くして家庭を持った人、働きながら子どもを育てた人、社会で戦い抜いた人——。そんな女性たちが経験した、人生の「酸い」や「甘い」を紹介する連載企画「60年、酸いも甘いも讃えたい」。
第10回目は、神奈川県大和市にお住いの藤原民子さん(62歳)にインタビュー。夫との死別や、SNSを通じて始めたモデル活動について伺った。

 

プラチナヘアモデルとして活躍している藤原民子さん。昨年、累計で30年勤めた化粧品会社を退社し、月刊誌『素敵なあの人』(宝島社)では連載モデル、テレビショッピング番組「ショップチャンネル」内のブランド「タミ・ブラーマ」ではブランディングとゲスト出演している。ブログやInstagramでは趣味のメイクやファッションの情報を発信している藤原さん。そのきっかけは、最愛の夫との死別だった。

「私は過去に3回結婚しているのですが、自分の性格をあまりわかっていない状態で結婚したからか、頼りがいのある人を選んでいたんです。でも、一緒にいるうちに窮屈に感じるようになってしまって。だから、自分のやりたいことをのびのびとやらせてくれる相手がいいんだなと思うようになったんです」

「死別した夫とは私が53歳のときに出会ったのですが、『この人とはずっと一緒にいられるんだろうな』と思っていたんです。私のやりたいこともやらせてくれるし、やさしい人でしたから相性もよかったと思います。ですが、彼には持病があって。籍を入れた2週間後に亡くなったんです。これが一番つらい出来事ですね。彼は持病がありながらも元気に暮らしていましたから、元気だった人が突然いなくなってしまったことが納得できなくて。だから、生きているあいだに好きなことをしようと思うようになったんです

高校卒業後に化粧品会社で正社員として8年間勤めたのち、結婚時に退職、12年後に契約社員として復帰した藤原さん。夫を亡くした後も化粧品販売員として勤めていたが、正社員登用試験に失敗したのをきっかけに、自分を活かせるほかの道を探し始める。

会社内の販売コンクールで表彰されて、ご褒美に海外旅行をプレゼントしてもらったこともありました。すごく燃えて仕事を取り組んでいたんですよね。でも、正社員に戻れないとなったときに、今後を考えたんです。契約社員の定年は65歳なんですけど、その年齢までこの仕事を続けるつもりはないな、と思い至りました」

「私、占いが好きなんです。『これから自分に何かできることはないかな』と思ったときに占いに行ったのですが、どこに行っても必ず『55歳を過ぎてから人生がもっとよくなる。運気を好転させるために、もっと自分を発信したほうがいい』と言われて。そこからブログやInstagramを始めたり、メイクレッスンを開講したりしました」

藤原さんの得意なメイクや趣味のファッションを発信するようになると、『素敵なあの人』(宝島社)や「ショップチャンネル」からの依頼が来るようになった。そんなある日、藤原さんのインスタグラムに1通のメッセージが届く。

女優の手塚理美さんから連絡が来たんです。『飲みませんか?』って

「連絡をもらってすごく心が躍りました。実際にお会いして、話をしていると考え方が似ていて。はじめて会ったとは思えないほど会話が盛り上がって、5時間ほど話し込んでしまいました。思っていたとおり素敵な方でしたよ!」

「巣鴨を歩いていたら『じゅん散歩』のロケに遭遇したこともあって。高田純次さんに声をかけられたんです。高田さんのあまりのおもしろさに、会話中に笑い泣きしてしまいました(笑)。友人たちにもよく言われるのですが、楽しいことを引き寄せている感覚があるんです。私自身が好きなことをして楽しく過ごしているから、心躍る出来事がやってくるのかもしれません

出所:藤原さんのInstagram(https://www.instagram.com/p/B2fNwXYA4x_/)

「時間が限られているから、無理して人に合わせず、心地よく思えることをする」と語る藤原さん。60歳を過ぎ、新型コロナウイルスの影響で社会の状況が変化したことをきっかけに、時間を意識するようになった。

「去年はコロナ禍で1年間何もできませんでしたから。それに時間を意識しないとあっという間に1年、2年と時は過ぎてしまいますからね。だから、一緒にいて気持ちのいい方々と、同世代の方々が輝いてもらえるような活動をしたいと思っています

「ブログやインスタグラムでの情報発信もその一環です。SNSを始めて、いろんな人と出会って、おもしろいくらいに人生が変わりました。白髪染めをしていない私の髪は『プラチナヘア』と呼ばれていて、この髪がきっかけで私に興味を持ってくれた人もいるんです。だから、この『プラチナヘア』を活かして情報を発信しています。グッドエイジスタイリストの花本幸枝さんの著書『60歳からの着こなし』(大和出版)にもモデルとして参加させていただいたのですが、『60代だからって家に籠らないでいろんなことをしよう』『おしゃれをして元気でいましょう』という思いで撮影に挑みました

 

花本幸枝『60歳からの着こなし』(大和出版)の表紙

「とはいえ、体は時間とともに変化していて。若いころと違って、トレーニングをしないと筋肉が固まるんです。だから筋膜トレーニングをしたり、ストレッチをしたりと体を動かしています。元気でいるからこそおしゃれを楽しめますし、おしゃれを楽しんでいるからこそ元気でいられると思うんです。『若づくり』には興味ありませんが、『おばあちゃんになったからもういいや』と思うのではなく、『どうやったら今の自分を素敵に見せられるか?』を考えることで元気になるんですよ

そう語る藤原さんの取材時のコーディネートは、ピンクのチェックシャツにジーンズ、白スニーカーとキュートでラフなスタイル。インスタグラムにはファッションコーディネートをアップしている。

「よくフォロワーさんから『コーディネートを拝見したいから、たくさんアップしてください』とメッセージをいただくので、自分で撮って、アップしているんです。三脚を使って撮影しているんですけど、洋服をきれいに見せつつ、自分のスタイルもよく見せるのは大変なんですよ(笑)。でも、私の投稿を楽しみにしてくださっている方がいるから、がんばれるんです」

「洋服は着てみたら必ず全身鏡で見て、全体のバランスをチェックします。ピアスやヘアアクセサリーのバランスもカギとなるので、いろいろ付けてコーディネートを完成させているんです。元気だからこそできることですよね」

現在、一人暮らしの藤原さん。インスタグラムへのコーディネート投稿に加え、古着屋巡りや料理が日課だ。

「暇さえあれば洋服を見に行っています。アレキサンダーワンやジバンシイなどハイブランドのアイテムが見つかるので、楽しくて(笑)。洋服を見に行って帰ってきたら、ビールに合うおつまみをつくって飲みます。『今日はがんばったな!』と思う日だけですけどね(笑)」

「最近だと、そら豆を4分の1サイズに切った春巻の皮で巻いて揚げたものや、ざく切りにしたカツオのたたきに刻んだきゅうりとオリーブを混ぜて、オリーブオイルと塩で食べたり。どちらもおいしかったですよ。インスタグラムやYouTubeで見ておいしそうだと思ったレシピは、とりあえず1回は試してみます」

私は好奇心が強いんだと思います。なんでも、とりあえずやってみるんです。今日着ている服もピンクで華やかな色だから似合うか一瞬不安に思うけど、とにかく試してみる。今は髪がプラチナヘアだからこそ意外と似合うんですよね。ためらわずに一度試すことでわかるものがある。だから、これからは好奇心が大事だと思うんです」

多機能・衛生マスク「MASCODE」のイメージモデルを務めたり、2021年6月9日より国立新美術館で開催されている「ファッション イン ジャパン 1945-2020 ― 流行と社会」のPR動画に出演したりと、活躍の場を増やしている。

年齢を言い訳にしない自分でいたいのです。そのためには健康であることが1番だと思うので、苦手なストレッチなどをがんばって “動ける身体づくり” を目指してます。そして、人との付き合いも、一緒にいて気持ちのいい方と過ごすこと、無理をしないことが自分への労りにつながると思います。いい意味で、“自分ファースト” でいるんです。若いころにはできなかったけど、無理をしないで過ごすとすべてがいい方向に進むとわかったので、自分の気持ちを大切にできるようになりました」

たくさんの過去の経験が今に活かされていると思うし、たくさんの出会いがあったから今があると思っています。出会いに感謝です

 

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