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メディカルハーブで身体の免疫を整える

認知症の予防にも!

特集 暮らしの新陳代謝を高めよう――住まいを整える。心と体を整える。 2020.12.14

取材・文:出口夢々

ハーブと聞くと、料理の香りづけやアロマオイルなどで香りを楽しむものを想像する人も多いでしょう。今回はそうしたハーブの使い方ではなく、身体の調子を整えるための使い方であるメディカルハーブを紹介します。メディカルハーブとは、人の身体にもともと備わっている自然治癒力を利用した「自然療法」のうちの1つ。「冬場だから免疫力を高めたいけど薬の飲み合わせが心配」「これ以上薬を飲む量を増やしたくない」という人におすすめです。
メディカルハーブの使い方や飲み方を日本メディカルハーブ協会に伺いました。

 

ハーブティーでの摂取がおすすめ

 

日本メディカルハーブ協会では「香りがあって人の何らかに役に立つ植物」をハーブと定義し、中でも美容や健康に役立つものをメディカルハーブと呼んでいます。ですので、ハーブと聞いてすぐに思い浮かぶようなカモミールやラベンダーといった植物に加え、ピンクペッパーやシナモンなどのスパイスや、キャベツやトマトなどの野菜を薬事的な目的を持って摂取するときには、それらをハーブと呼びます。

メディカルハーブを利用する方法として、ハーブの植物化学成分をアルコールで抽出するチンキ剤や、植物油を使って精油やカロチノイド、ビタミンEなどハーブの脂溶性成分を抽出する浸出油などがありますが、手間がかかって大変でしょう。
そこで、ここではもっとも簡単に始められるハーブティーを紹介していきます。

ハーブティーは、ハーブに含まれている有効成分の中から水溶性の成分を取り出す方法です。基本の淹れ方さえ覚えれば茶葉をブレンドして応用する楽しみ方もできるので、ぜひ試してみてください。

ハーブティーの淹れ方

1.マグカップ1杯分(200cc)のお湯とティースプーン山盛り2杯分のハーブを用意する
2.ティーポットにハーブを入れ、お湯を注ぐ
3.蓋をして、花や葉の部分のハーブなら3分間、根や果実の部分のハーブなら5分間蒸らす
4.茶こしを使ってカップに注ぐ

★Point
お湯を注いだたら必ず蓋をしましょう! 精油成分が含まれる蒸気を逃がさず、蓋をして水分に戻すことで余すことなく成分を摂取できます。

メディカルハーブは薬ではないので、容量や時間を気にせずに摂取して問題ありません。ただ、ハーブの利尿作用でトイレが近くなるので、寝る1~2時間前までに飲み終えるようにしましょう。

 

症状別で選ぶハーブ

 

ハーブの持つ効能はそれぞれ異なります。ご自身の身体の不調に合わせてハーブを選んだり、ブレンドしたりしてみましょう。

症状:アルツハイマー型認知症の予防

ハーブ:ローズマリー、レモン、ラベンダー、オレンジ
摂取方法:アロマオイル
使い方:昼・ローズマリーの精油を2滴、レモンの精油を1滴垂らす
    夜・ラベンダーの精油を2滴、オレンジの精油を1滴垂らす
脳の記憶部分を司る海馬の近くに嗅覚の神経があるので、嗅覚を刺激すると海馬も刺激され、アルツハイマー型認知症を予防できます。精油はティッシュペーパーやアロマストーンに垂らし、近くに置いておけばよいです。香りが弱くなったら精油を足しましょう。

症状:血管性認知症の予防、アルツハイマー型認知症の予防

ハーブ:イチョウ
摂取方法:ハーブティー
使い方:乾燥させたイチョウの葉を3分間抽出して飲む
イチョウの葉はドイツでは医薬品として用いられるほど薬理作用の高いハーブです。血がかたまりにくくなる効果があるので、高血圧で薬を飲んでいる人や抗凝固剤を飲んでいる人は出血傾向が高まるので注意してください。

症状:炎症

ハーブ:カモミール
摂取方法:ハーブティー
使い方:乾燥させたカモミールの花を3分間抽出して飲む
リラックス効果をもたらすとして有名なカモミール。絵本『ピーターラビット』の中でお腹が痛いピーターにお母さんがカモミールティーを淹れてあげる場面があるように、胃腸炎にも効きます。

症状:風邪

ハーブ:エキナセア
摂取方法:ハーブティー
使い方:根や茎、葉、花を乾燥させたものを5分間抽出して飲む
免疫力を高めるハーブとして広く知られているエキナセア。風邪やインフルエンザなどに効果があり免疫を整える作用があるので、冬場にはぴったりのハーブです。エキナセアは甘みのないハーブなので、マスカットのようなフルーティーな甘みが特徴のエルダーフラワーの葉とブレンドして飲むのがおすすめ。
ハーブをブレンドする場合は、1:1の割合になるようにすると、美味しいハーブティーが淹れられます。また、エキナセアとエルダーフラワーのブレンドにローズヒップを混ぜてビタミンCの摂取量を多くできたり、リコリスやウスベニアオイを混ぜればのどの痛みに効くハーブティーができます。

症状:関節痛

ハーブ:エルダーフラワー、ネトル、ジンジャー、ダンデライオン
摂取方法:ハーブティー
使い方:乾燥させたものを3分間抽出して飲む(※)
※ダンデライオンは5分間抽出する
リウマチに効くエルダーフラワー。4種類のハーブをブレンドして飲むのもおすすめです。ネトルは青のりのような風味のするハーブなので、ハーブティーで楽しんだあとの葉を醤油やだしで炒めておかかにして食べるとハーブの成分を余すことなく摂取できます

症状:高血圧

ハーブ:リンデン
摂取方法:ハーブティー
使い方:乾燥したものを3分間抽出して飲む
鎮静作用と利尿作用があるので高血圧に用いられます。穏やかに作用するので安心して飲めるハーブティーです。甘い香りが特徴的なので、エキナセアとブレンドして飲むのもおすすめです

症状:消化不良

ハーブ:ペパーミント、ジンジャー、カモミール、レモンバーム
摂取方法:ハーブティー
使い方:乾燥したものを3分間抽出して飲む
ひどい胃もたれのときはすべてのハーブを、「なんとなくムカムカするな」というときはペパーミント以外のハーブをブレンドして飲みましょう。

ハーブは2~3カ月で消費できる量を購入しましょう。一度袋を開けたら酸化してしまうので、開封後4カ月経ったものは、だしパックに入れてハーバルバスとして楽しむのがおすすめです。また、購入する際にはハーブの色味を確認してから買ってください。緑色のハーブであれば色味が強いものを選ぶとよいでしょう。カモミールであれば花が白いものがよいです。色の鮮明度を見て買うと、良質なハーブを摂取できます。

 

・イチョウは薬との飲み合わせに注意が必要なハーブです。摂取する場合はお医者さんに相談してからにしてください。
・キク科(カモミールやエルダーフラワー)の植物はアレルギー反応の出やすいハーブです。かゆみを感じることもあります。

 

好きなハーブティーやよく使うアロマがあったら、コメント欄で教えてください!

協会情報
特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会

日本では、1970年代から欧米の生活文化としてハーブが紹介され、ハーブ料理やハーブ栽培などの分野で急速に普及しました。その一方で、医療や健康分野での活用については取り組みが遅れ、情報も不足していて、公的団体も存在しませんでした。そこで、1999年に医療従事者や学識経験者、業界関係者などが集い、日本メディカルハーブ協会の前身であるメディカルハーブ広報センターを設立しました。2006年には特定非営利活動法人として法人格を取得し、日本メディカルハーブ協会(JAMHA)と名称を変更しました。メディカルハーブに関する正しい情報の提供と健全な普及を目的に、今日まで歩んできています。
https://www.medicalherb.or.jp/

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金田太朗

特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会専務理事。日本メディカルハーブ協会ではメディカルハーブの実践的な基礎知識を学べる「メディカルハーブ検定」と生活のなかでより取り入れやすい「ハーブアンドライフ検定」を年2回実施している。 https://www.medicalherb.or.jp/
金田太朗

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