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漢方で長く健康でいられる身体をつくる

身体全体のバランスを整える

特集 暮らしの新陳代謝を高めよう――住まいを整える。心と体を整える。 2020.12.25

取材・文:出口夢々

「何となく身体がだるい」「耳鳴りがするけど病院では問題ないと言われた」など、どことなく不調を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか? その「何となくの不調」を漢方では「未病」と呼びます。この「何となくの不調」、漢方なら解決できるかもしれません。
そこで、漢方とはそもそも何なのか、漢方薬を飲むことでどうやって症状が改善していくのかなど、漢方のいろはをニホンドウ漢方ブティック東急プラザ渋谷店相談員の小林君霊さんに伺いました。

 

古代中国医学から伝来した漢方

——そもそも漢方とは何なのでしょうか?

「漢方」とは、古代中国医学が日本の気候や風土に合わせて変化し、根づいた「健康哲学」のこと。漢方と聞くと漢方薬をイメージされる方が多いと思いますが、あくまで健康哲学の名称なので、鍼灸や気功、ツボや薬膳に呼吸法なども漢方に含まれます。中国哲学にもとづき、自然のものを活用して、自然なかたちで身体全体を整えていくのが特徴です。

よく西洋医学との違いを聞かれるのですが、各々の病気を個別に治療する西洋医学に対して、漢方は身体全体を整えることによって症状を改善していきます。

たとえば、頭痛がするときに西洋医学では頭痛薬を飲んで対処しますが、漢方では頭痛の原因は身体のバランスが不整であることと捉えるため、バランスを崩している要素を補ったり排出させることで頭痛を対処します。人に主体を置いて全体のバランスを整えていくので、頭痛が原因で漢方薬を飲み始めたのに、気がついたら肌荒れや疲れなど、ほかに気になっていた不調も改善されるというのもよくあるケースです。

お話を伺ったニホンドウ漢方ブティック東急プラザ渋谷店の小林さん

——漢方薬を飲むことは、症状を抑えるのではなく、身体全体を整えていくことにつながるのですね。

西洋医学では病名がつかない不調(未病)にもアプローチできるのも、漢方の特徴ですね。「なんとなく身体が怠いけど、病院に行くほどの症状はない」「耳鳴りがするけど、耳鼻科では問題ないと言われた」など、身体の不調を感じながらも西洋医学では対処がむずかしい悩みも漢方では改善できます。

漢方薬は日本の伝統医学である漢方医学の理論にもとづき、自然の生薬を組み合わせることによってつくられている医薬品です。この世に存在するすべてのものは「陰」と「陽」の2つに分けられると考え、この2つのバランスが整っていることが大切だと考える「陰陽論」や、自然界のすべてのものは「木」「火」「土」「金」「水」の5つの元素から成り立っていると考える「五行説」、さらには、身体の構成要素として考えられる「気」「血」「水」のバランスを考慮し、1人ひとりの身体に合った漢方薬を選定をしていくのです。そのため、頭痛に悩んでいる方が2人いたとしても、各々の身体の状態を把握し、その人に合った漢方薬を選ぶので、薬の内容はまったく異なることがあります

 

漢方は飲みづらくない

——漢方薬はどのようにつくられるのですか?

生薬と呼ばれる、自然界に存在していて薬効を持つ産物(植物や動物、鉱物など)を2つ以上組み合わせることで漢方薬はつくられます。剤形には煎じ薬、粉薬、錠剤の3つがあり、悩んでいる症状やライフスタイルによって剤形は異なってきます。生薬をじっくり煮出し服用する煎じ薬は、生薬のエキスをそのまま身体に取り入れられるので、もっとも効果的な剤形です。ただ、30分ほどかけて煮出す必要があり手間がかかるので、時間を確保するのがむずかしい場合には粉薬や錠剤でもいいでしょう。

漢方薬は苦く飲みづらいイメージがある人も多いかもしれません。しかし、カウンセリングをしっかり行い、自分の身体に合った漢方薬であれば、多少の苦味は感じても飲みやすいと思います。身体が求めている成分なので、おいしいと感じる人も多いです。また、身体のバランスを補う生薬は甘みが強く、反対に身体の余分な要素を排出する生薬は苦味が強く感じる傾向があるので、処方される漢方薬によって味は異なります。

——実際に、どのような漢方薬が選定されるのでしょうか。

相談に来られる方の多くが抱えているトラブルと、代表的な処方は以下のとおりです。

身体全体の様子を診て処方する漢方薬を決めるので、一例に過ぎませんが、このような薬を選定します。

——どれくらいの期間飲む必要があるのでしょうか?

体質改善のサイクルによりますが、4カ月から半年飲むことで身体が整ってきます。継続的に服用することで、徐々に身体全体が改善していくのです。体質が改善されたら服用する必要はありません。ただ、漢方には「養生品」と言って、身体のバランスを維持して不調を防ぐための製品があります。体質が改善した後もそれを維持したい方や、健康な身体をなるべく維持したい方は、継続して養生品を生活に取り入れるのがおすすめです。

また、すでに持病があって病院でもらった薬を飲んでいる方は薬剤師と相談してから漢方薬を飲むようにしましょう。ただ、基本的には時間をずらして飲めば問題ないことが多いです。なお、漢方薬を服用しているときは効果を高めるために飲酒を控えましょう。生ものや冷たいものも控えると、身体があたたまりやすくなり、血の巡りがよりよくなります。

「年齢関係なくイキイキしたい」「まわりに迷惑をかけないように健康状態を維持したい」という思いから漢方薬をお求めに来られる方が多いですが、とりわけ身体に気をつけたいのは更年期が終わった後。更年期が終わった身体は非常に弱っている状態なので、そのときに漢方薬を服用することによって長く健康でいられる身体をつくれます。店頭やお電話でのカウンセリングはもちろん、オンラインでのカウンセリングも始めたので、不調を感じている方は一度相談に来てみてください。

 

編集部・出口が漢方相談を体験

取材後、小林さんに漢方タイプチェックシートをもとに、簡単な漢方相談に乗っていただきました。漢方タイプチェックは以下のとおり。

https://www.nihondo.co.jp/kampo/consultation/%5B/caption%5D

偏頭痛持ちなので慢性的に頭が痛く、パソコンを眺めている時間が長いので目の疲れが無視できなくなっています。また、毎晩悪夢をみるほど眠りが浅く、起床後に感じる疲労感は凄まじいです……。

このような不調を相談したところ、私は肝と脾が弱っているとわかりました。少しお腹が弱いのですが、それも相まって肝のトラブルが起きているのだとか。温かいものや根菜類を意識的に摂取したり、きちんと3食食べることで身体のバランスが整っていくと教えてもらいました。また、リラックスする時間をつくるのも大事だそう。

不調の原因が判明しただけでなく、日常生活で気をつけられることをたくさん教えていただきました。ハッとさせられることも多く、自分の身体としっかり向き合おう――そう思い、取材を終えました。

みなさんもお身体、お大事にしてください。

 

みなさんもぜひ一度、薬日本堂さんのサイトで体質診断をしてみてください! よかったら結果をコメント欄で共有してくださるとうれしいです。

企業情報
薬日本堂株式会社

1969年創業の老舗漢方専門店。全国に20店舗展開する薬局・薬店では漢方相談をベースとし、健康的なライフスタイルを提案している。その他、ニホンドウ漢方ミュージアム、薬日本堂漢方スクール、書籍監修、日本コカ・コーラ社「からだ巡茶」をはじめとした多業種とののコラボレーションなど、漢方・養生を軸とした幅広い事業展開を行う。 http://www.nihondo.co.jp/

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