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ルーヴル美術館の有名作品を紹介【リシュリュー翼】|おうちで鑑賞したい名作6選

オンラインで所蔵全48万点を公開中

特集 私の好きな名作 2021.10.25

文:出口夢々

「モナ・リザ」や「ミロのヴィーナス」など世界的に有名な作品を数多く展示する、フランス・パリにある「ルーヴル美術館」。いつかは行ってみたい、と思っている方も多いのではないでしょうか。

そんな方に朗報です! 新型コロナウイルスの蔓延に伴い、ルーヴル美術館は館内で公開されている作品およびランス北部の保存施設に所蔵されているすべての作品にあたる約48万2000点をオンラインで公開しています!

ルーヴル美術館「COLLECTIONS」

オンラインで公開中の作品は、上記の「COLLECTION」でご覧いただけます。使い方は簡単。サイトを開いたら表示される「Seach the collections」に見たい作品名や画家の名前を入れるだけ。ただし、残念ながら、サイトは英語とフランス語にしか対応していないんです……。

というわけで、英語は苦手で……という方も作品を堪能できるように、本記事では、ルーヴル美術館でぜひ見ておきたい有名作品を紹介していきます! 作品名と作者名を英語でも表記するので、気になった作品は「COLLECTIONS」で細部まで鑑賞してみてください。

本記事では、ルーヴル美術館のリシュリュー翼に展示されている作品を紹介します。

ドゥノン翼編はこちらから
シュリー翼編はこちらから

 

▼ヨハネス・フェルメール「レースを編む女」

©Musée du Louvre

オランダの画家、ヨハネス・フェルメールによって描かれた作品。レースを制作する女性の姿は「家庭の美徳」という意味と結び付けられてきました。それを明示するかのように、女性の手元には聖書と思われる本が置いてあります。

有名な作品なので、雑誌や本などで一度は目にしたことがある人も多いかもしれません。編集部・出口も「教科書で見たことある作品を見にいこう!」と意気揚々とルーブル美術館に行ったのですが、いざ本作に対峙してみると……

小さい!!!!!

あまりの小ささに驚いてしまいました。大きな作品だと勝手に想像していたのです。この作品は縦24.5cm × 横20cm。ですので、パソコンの画面上でもほぼ原寸大で見られる名画です

作品情報
作品名:La Dentellière
作者名:Vermeer, Johannes
制作年:1669年〜1670年
URL:https://collections.louvre.fr/en/ark:/53355/cl010064918

 

▼ヨハネス・フェルメール「天文学者」

©Musée du Louvre

オランダの画家、ヨハネス・フェルメールによって描かれた作品。ということは、この作品も小さいのでは? と思ったみなさん……

縦51cm × 横45cmと、こちらはそれほど小さくない作品でした。主題になっているのは「天文学者」ですが、フェルメールが活躍した17世紀のオランダ絵画では学者の肖像は好まれたモチーフ。オランダが世界的な影響力を持っていた「オランダ黄金時代」の経済の基盤である海運業にとって、宇宙の研究は重要だったため、学者を描くことによって当時の化学の進歩をも描き出していたそうです。フェルメールは「天文学者」のほかにも「地理学者」の作品を描いています。なお「地理学者」は、ドイツ・フランクフルトのシュテーデル美術館が所蔵しています。

作品情報
作品名:L’Astronome
作者名:Vermeer, Johannes
制作年:1668年
URL:https://collections.louvre.fr/en/ark:/53355/cl010064324

 

▼作者不明「ガブリエル・デストレとその妹」

©Musée du Louvre

フォンテーヌブロー派の誰かが描いた、としかわかっていない作者不詳の作品。2人の女性が入浴している様子が描かれていますが、左の女性が右の女性の乳首をつまみ、右の女性が指輪を左手でつまみ見せているという、なんとも不可解なモチーフです。

伝承によると、右の女性はアンリ4世の寵姫ガブリエル・デストレで、左の女性はその姉妹のビヤール公爵夫人だと言われています。2人の不可解な行為は、ガブリエルがアンリ4世の私生児を身篭り、正式な結婚を望んでいることを示し、奥の部屋では侍女が生まれてくる赤ちゃんの産着を編んでいるのだとか

……それにしても、「乳首をつままれている=妊娠を示唆している」のは謎すぎますよね。この「謎めいたエロチックさ」が多くの人々を魅了してきた作品なのです

作品情報
作品名:Gabrielle d’Estrées et une de ses soeurs
作者名:作者不明
制作年:1575年〜1600年
URL:https://collections.louvre.fr/en/ark:/53355/cl010065402

 

▼ジャン・クルーエ「フランソワ1世の肖像」

©Musée du Louvre

フランスの画家ジャン・クルーエが描いた作品。ヴァロワ朝第9代のフランス王・フランソワ1世を描いた作品です。本作も「世界史の教科書で見たことあるやつ!シリーズ」ですね。

フランス最初のルネサンス君主と言われているフランソワ1世は、精力的な対外政策やカリスマ性で王権の強化を図り、フランスをヨーロッパの中心的な存在に押し上げた王。文学や芸術の熱心な保護者としても知られており、最晩年のレオナルド・ダ・ヴィンチを庇護し、フランスに招いた人物とも言われています

そんなフランソワ1世を描いたのは、フランスで活躍した画家ジャン・クルーエ。フランソワ1世専属の宮廷画家のような立場で作品を描いた画家でした。

作品情報
作品名:François 1er
作者名:Clouet, Jean
制作年:1525年〜1550年
URL:https://collections.louvre.fr/en/ark:/53355/cl010062204

 

▼レンブラント・ファン・レイン「ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴」

©Musée du Louvre

オランダの画家レンブラント・ファン・レインによって描かれた作品。旧約聖書の一場面である、ダビデ王が沐浴するバテシバを見初めて強引に関係を持ち、妊娠させた罪に関するシーンを描いています。

このシーンはよく絵画作品のモチーフにされる場面で普遍的な主題でしたが、レンブラントはこれまでの作品とはまったく異なるアプローチで描いたことで多くの画家に影響を与えました。それまでバテシバの沐浴といえば、バテシバがダビデ王に見られているのをわかっていながら屋外で沐浴しており、近くに召使いが仕え、遠くに描かれた塔にダビデ王と思わしき小さな人影が描き込まれているのが普遍的な描き方でした。

しかし本作は、まるでこの作品の鑑賞者自身が沐浴を覗き見するダビデ王であるかのような構図で描かれており、バテシバの肉感がより強く表現されている、官能的な作品となっています。

作品情報
作品名:Bethsabée au bain tenant la lettre du roi David
作者名:Rembrandt, Harmensz. van Rijn
制作年:1654年
URL:https://collections.louvre.fr/en/ark:/53355/cl010060453

 

▼作者不明「ハンムラビ法典碑」

©Musée du Louvre

絵画作品だけでなく、イスラム美術やメソポタミア・古代イラン美術も展示されているリシュリュー翼。こんな作品も展示されています。

なんとこちら、「目には目を、歯には歯を」の記述があるハンムラビ法典の法文が描かれた大石碑なのです。紀元前1760年頃に制作されたと考えられている本作は、1902年にイラン西南部の都市・スーサにて発見されました。ほぼ完全な原型をとどめている法典碑としては世界最古の作品で、モーセの十戒よりもさらに古い時代の法文が描かれているのです。

ちなみに、本作の上部に描かれているのは、太陽神シュマシュ(右)とハンムラビ王(左)。「ハンムラビ法典は太陽神シュマシュからハンムラビ王に授けられた」という内容が刻まれています。

作品情報
作品名:stèle
作者名:作者不明
制作年:紀元前1792年〜紀元前1750年
URL:https://collections.louvre.fr/en/ark:/53355/cl010174436

 

3つの記事を通してルーブル美術館の所蔵作品を紹介してきましたが、好きなものは見つかりましたか? 私はドミニク・アングルが描いた「グランド・オダリスク」(ドゥノン翼編で紹介しています)の、女性の曲線が美しいな〜〜と惚れ惚れしてしまいました。みなさんの好きな作品を、ぜひコメント欄で教えてください!

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