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娘を救う唯一の方法は “本当の父親” を探すこと——『マイ・ダディ』

愛を信じれば、事実はどうでもいい

連載 スクリーンZIEL 2021.9.24

文:花塚水結

編集部・花塚が今観たい映画作品を紹介する連載「気になるシーンをコマ送り スクリーンZIEL」。第12回目は、2021年9月23日(木)に公開された『マイ・ダディ』。
病を患ってしまった中学生の娘と、その娘を救うべく “本当の父親” 探しに奔走する父親を描いたヒューマンストーリーです。

 

突然崩れた娘との穏やかな暮らし

 

小さな教会の牧師をしている御堂一男(ムロツヨシ)は、中学生の娘・ひかり(中田乃愛)と2人暮らし。最愛の妻・江津子(奈緒)は8年前に交通事故で他界。ガソリンスタンドのアルバイトを掛け持ちしながら、男手ひとつでひかりを育てています。思春期を迎えたひかりと些細な喧嘩をしながらも、穏やかで幸せな日々を暮らしていました。

©2021「マイ・ダディ」製作委員会

クリスマスの礼拝を終えた後、一男は倒れているひかりを発見。病院で “白血病” と診断され、混乱する一男でしたが、追い打ちをかけるように衝撃的な事実が発覚します。

ひかりは実の子どもではなかったのです

ひかりに適合するドナーは数百万人に一人という厳しい現実を突き付けられ、混乱する一男。しかし、愛する娘を救うため、適合率が上がる血縁者—— “ひかりの本当の父親” を探しに奔走します

©2021「マイ・ダディ」製作委員会

 

最後まで “楽しさ” を忘れない

 

主人公の御堂一男を演じるのは、ムロツヨシさん。ドラマや映画で「ムロワールド」全開の個性的なキャラクターを演じている印象が強いですが、映画の主演ははじめてとのことで驚きました。

「白血病を患ってしまった娘が、実の子ではなかった」というセンシティブなテーマではありますが、節々にコミカルなシーンが組み込まれており、最後まで楽しさを忘れずに観ることができます

そして、私がグッと来たシーンは、ひかりに白血病という診断が下され、実の子ではないことが発覚した後、押し殺していた感情が露わになるシーンです。

教会の炊き出しに訪れるホームレスのチューさんに誘われ、一緒にお酒を飲むことになった一男。チューさんが一男を気遣う言葉をかけると、それまで我慢していた感情が一気に涙としてこぼれだします

©2021「マイ・ダディ」製作委員会

これまで、一男は牧師として人々の辛いことや悲しいことは神の教えに沿って出口へと導いてきました。しかし、最愛の娘が死ぬかもしれないという不安や亡くなった妻への疑心と嫉妬の念は、どこにも答えのやり場がなく、それに気付いてしまった瞬間がどうしようもなく切ない気持ちにさせられました

しかし、ここでのムロツヨシさんの演技は、泣いているのか笑っているのか、わからないほど声を荒げて涙を流します。ある種の狂気的なものも感じましたし、「いや、ここで笑い誘うのか!」とつい心のなかで突っ込んでしまい、なんだか観る側の切なさもうまく流され、その後のストーリーへ向かわせてくれたような気がしました。

 

絶望を生きる父親を娘が救う

 

ひかりを演じたのは、中田乃愛さん。ムロツヨシさんも審査員として参加したオーディションで約300人のなかから選ばれた、期待の新星です。今作のため、実際に剃髪して臨んでいます。

中田乃愛さんの笑顔がとにかく素敵で、明るい性格のひかりにぴったりだなと思いました。オーディションではまったく泣けなかったそうですが、病室で一男から病名を告げられるシーンでは、自然とこぼれた涙に心が揺さぶられます。

映画の最後には一男とひかりが向き合って話すシーンで、一男に対してひかりがかける言葉は、絶望のなかを照らす一筋の光となって一男を救いへと導きます

©2021「マイ・ダディ」製作委員会

劇場で思いっきり涙を流しながら観てほしい作品です。ぜひ鑑賞してみてください。

 

作品情報
『マイ・ダディ』
公開日:9月23日(木祝)全国公開
監督:金井純一
脚本:及川真実
出演:ムロツヨシ、奈緒、毎熊克哉、中田乃愛、臼田あさ美、徳井健太(平成ノブシコブシ)、永野宗典、光石 研ほか
配給:イオンエンターテイメント
公式サイト: https://mydaddy-movie.jp/

©2021「マイ・ダディ」製作委員会

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