春にあった忘れられない「別れ」

60歳以上の女性に聞きました！

特集春こそ、人生に祝福を！ 2021.3.10

文：花塚水結
アンケート協力：アイブリッジ株式会社

出会いの数だけ別れもある。みなさん、人生の経験を重ねるたび、さまざまな別れを経験されてきたのではないでしょうか。
今回は「春にあった忘れらない別れ」について、60歳以上の女性を対象にアンケートを取りました。そのなかから編集部が選んだエピソードをご紹介します！　出会い編はこちらから！

就職をきっかけに友達と疎遠に

「高校のときよく遊んだ友達と、就職をきっかけに離れ離れなってしまいました」（61歳）
「大学の友達とそれぞれが離れ、仕事についた」（68歳）
「仲良くしていた高校の同級生と、連絡をとらなくなった」（64歳）
「37年前、就職で恋人と遠距離恋愛になった」（60歳）

学生時代、同じ部活で毎日のように会っていた仲間も、何でも話していたクラスメイトも、それぞれの進路へ向かうとともに疎遠になってしまいがちですよね。アンケートでも、そういう方がたくさんいらっしゃいました。
きっと「あの人もがんばっているだろうから、私もがんばろう」と心のなかで思い合える、素敵な関係なのではないでしょうか。

片想いしていた彼との別れ

「一途な片想いをしていた。父親の転勤で引っ越すとき、片想いをしていた彼から会いに来てくれた。『好きだった』と言ってくれた。でも、貧乏でお洒落もできないことに気後れし、『ありがとう』と伝えただけで終わった」（61歳）

私の心のなかのスピードワゴンの井戸田さんも思わず「甘酸っぱ〜い！」って叫んでいます。本当はすごくうれしいのに、好きな人を前にするとどうしても弱気になってしまうものですよね。想いを伝えにきてくれた彼、とても素敵な方だったのだろうなぁと思います。

汽車のホームで母との別れ

「50年以上前。それまでは家から出たことがなかった。汽車と汽船を乗り継いでしか行けない大学に向けて旅立つ。まだ家には家電もない時代、もちろん携帯電話などもなく、連絡手段は手紙か電報だけだった。『次に家族と会えるのはいつになるのか』という心細さがあり、母親は心配しかしていなかった。駅のホームで強がっていた母も、そして自分も、今生の別れみたいに涙ぐんでいた。携帯電話のある今から思えば不自由だったなと思う」（72歳）

私も大学入学時に、反対側のホームに立つ母親との別れを経験をしたことがありますが、スマホがあっても心細かったのを覚えています。これからの新しい生活に希望が溢れる一方、ずっと一緒に暮らしてきた家族との別れはつらいものですよね。

就職した子どもとの別れ

「10年前、就職した次男が大阪勤務になった。息子の地方への勤務はまったく考えていなかったので、私の方が動揺して悲しかった」（62歳）

家族との別れが心細いのは、子どもだけではないんです……。進学や就職で家族と離れるのが悲しいのは、親になっても一緒。反対側のホームに立つ母親も、同じことを思っていてくれたのでしょうか。

尊敬する上司との別れ

「昔、広告代理店に入社したころ、７歳年上の先輩キャリアウーマンと出会った。仕事だけでなく、趣味や生活、人間性を大事にしなさいと教わり、教養や読書も私のお手本だった。英会話教室、クラシックコンサート、茶道華道。経済の講演会もわからないのにお供した。私はずいぶんと影響受けた。おしゃれもお化粧もまねをした。仕事は優秀で、男性社員や上司からの信頼も厚く、この人は恋愛も結婚しないと誰もが思っていた。職場の皆さんから慕われていた。ある日突然、地方の工作機械メーカー営業マンと結婚した。稼ぎは先輩の半分以下の男性。『あなたも早くいい人みつけなさい』と送別会なしで退社。専業主婦で男の子２人のママになったと聞いているが、もう30年以上会っていない」（61歳）

仕事以外のお手本にもなっちゃう先輩、かっこよすぎる。
私が仕事以外で後輩に教えられることと言えば、アイドルの魅力と、おもしろいYouTubeチャンネルですかね。あ、きれいな金髪に染めてくれる美容院も教えられます。……おそらく、先輩と違う意味で送別会が開かれませんね。