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歳を重ねた人へ向けた、居心地のよい空間づくり

「きれいな色」を入れると「気持ちのよい部屋」に変わる

特集 暮らしの新陳代謝を高めよう――住まいを整える。心と体を整える。 2020.12.23

取材・文:出口夢々

「おしゃれな家にしたい」「家の雰囲気を一新したい」と思っても、どこから手をつければよいのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか? そこで、インテリアコーディネートのコツを、インテリアデザイナーで福祉住環境コーディネーターでもある西村みどりさんに伺いました。大掃除のときに一手間加えてみてはいかがでしょうか?

 

鮮やかな色を投入すると気持ちが前向きに

 

大掃除で家を大々的に片付ける年末。新型コロナウイルスの流行で家にいる時間が長くなり、「住まいの空間を変えたい」と思われる方も多いでしょう。そのような方にまず考えてもらいたいのが、「自分にとって、どのような空間が居心地よいか」ということです

観葉植物を置いて自然を感じられる雰囲気にするも、モノトーン調でシックな雰囲気にするのもよいですが、それが「自分にとって気持ちのよい空間か」を考えてみてください。ただ、いきなり「気持ちのよい空間」と言われてもピンとこない方もいらっしゃると思うので、気持ちよい部屋づくりのコツを伝授します。

その空間を「気持ちがよい場所だ」と感じるために、まずは、きれいな色を取り入れてみましょう。歳を重ねると、視界に入るものが黄色がかって見えたり、白濁して見えるようになります。ですので、同じピンクでもパステルピンクではなくビビットピンクを選ぶなどして、1トーン鮮やかな色を選んでみると色の美しさをより楽しめます。また、暖色系の色を選んだほうが前向きな気持ちになります。

色物を取り入れるのは少しハードルが高いと感じられる方は、まずは小物から取り入れて、部屋全体のアクセントカラーとして色を楽しむのがおすすめ。また、グリーンをアクセントカラーにして、クッションカバーや観葉植物で色を取り入れると、どんな雰囲気の部屋でも色が浮かずによく馴染みます

また、自然がある部屋も気持ちをいきいきとさせてくれます。やはり、人工的なものに囲まれているよりも、自然のなかにいるような空間のほうが気持ちよく暮らせます。ですので、ガラス製のサイドテーブルを自然素材のものに変えてみたり、思い切って壁紙を珪藻土で塗ってしまうのもおすすめです。

壁紙を貼り替えるのは少しハードルが高いかもしれませんが、一面グリーンにしてみたりして色味を足すと、一気に部屋の雰囲気が変わります。また、柄物を取り入れればそれだけで一気にヨーロッパのホテルのような雰囲気が醸し出せたりするので、「今回の模様替えは思い切ったことをしたいなあ」という方はチャレンジしてみてください。

 

リビングのカギは照明計画にあり

 

お家全体のインテリアの見直し方をマスターしたら、次は部屋ごとのインテリアのコツを伝授します。

まずは、過ごす時間がもっとも長いであろうリビング。この部屋は「照明計画」が鍵をにぎります。シーリングライトは調光調色のできるLEDのものがおすすめ。明るさや色味をリモコン1つで調節できるので、朝は目が覚めるような寒色系の色で照らし、夜はあたたかみのある暖色系の色で照らしてあげると、1日のなかで雰囲気をグッと変えられます。また、夜は間接照明を複数用いて部屋全体を暖かく照らすのもリラックスできる雰囲気を醸し出せるのでおすすめです。

寝室は横のラインを意識すると、リラックスした空間になります。家具も背の低いものを置き、ライトも横に広く照らすものを選ぶとよいでしょう。照明1つで睡眠の質が大きく変わるので、「最近寝付きにくくなったな」と思う方はまずは寝室の照明から変えてみるのがおすすめです

また、遊び心を出しても失敗しにくいのが、トイレです。空間の狭いトイレだと置いてあるものも限られてくるので、統一感のある空間がつくりやすいと思います。壁紙を変えてみたいけどなかなか勇気がでない人は、トイレから変えてみるのがおすすめ。思い切って、赤色の壁紙にしてみると一気におしゃれな空間になります。壁紙に合わせた色のタオルをかけておくと、統一感が生まれます。

キッチンは、ガスコンロからIHクッキングヒーターに変えるのもよいでしょう。歳を重ねるとどうしても物忘れが増えがち。「あれ、火を消して出てきたかしら?」なんてときも、IHなら一定時間ボタンを操作しないと自動で電気が切れるシステムが搭載されているものもあるので、新たに取り入れてみるのもよいでしょう。

 

インテリア見直しの前に整理整頓を

 

ここまで気持ちよい部屋づくりのコツを紹介してきましたが、まずは何よりも整理整頓が大切です。棚の色を統一すれば、ものが目に入っても不揃いな印象にはならないので、「なんとなく部屋の雰囲気が決まらない」という方は、家具の色を見直してみてください。

また、ものが多すぎる場合にはボランティア団体に寄付をしたり、エステートセールを活用するなりして、捨てるのではなく活性化できる方向で処分を考えましょう。大事なものは無理に捨てる必要はありません。愛着のあるものに囲まれて生活することでワクワクする暮らしが営めると思います。居心地のよい、気持ちのよい空間づくりのポイントは「自分がワクワクするものに囲まれていること」「きれいな色があること」「自然が感じられること」の3つです

 

みなさんのお気に入りの家具や部屋のこだわりポイントを、コメント欄で教えてください!

 

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西村みどり

インテリアデザイナー、福祉住環境コーディネーター。アートや季節の移ろいの感じられる豊かで潤いのある暮らしを提案しています。大学や専門学校でも生活空間学やインテリアデザイン、色彩学など長きにわたり教鞭をとっています。現在は猫好きの長女の影響を受けて「猫と暮らす豊かで美しい空間づくり」を研究中。
西村みどり

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