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「自分らしさ」を忘れず、前へ進むための「エンディングノート」

最期まで悔いなく決断したいあなたへ

特集 自分をあたらしくする 2020.8.28

取材・文:花塚水結

みなさんは、エンディングノートを知っているでしょうか? エンディングノートとは、自分にもしものことがあったときに備えて、家族や周りの人に伝えておきたいことを書いておくノートのことです。病気になったときの治療方法や、お葬式・お墓などの希望、自分の財産を書いておくことで、家族の負担を減らす役割があります。

しかし、こうした実務的な役割のほかに、自分の人生を振り返ったり、今の自分がどんなことを思っているのかを綴るページもあるのです。
そこで、まだまだ若輩者の編集部の花塚が、みなさんに代わってエンディングノートを使い、自分がどのような人生を送ってきたのか、その時々に思い出があるのかをふり返って見たいと思います。

読み終えた後に「エンディングノートを書いてみよう」と思ってもらえればうれしいです。

 

自分の人生を振り返ってみる

エンディングノートは、本屋さんなど市販で売られていたり、葬儀社やセミナーで配布されていたり、また、サイトからダウンロードできるものもありますが、種類によって書き込める内容が異なることもあります。
今回は、ZIELでオリジナルエンディングノートを作成し、そちらを利用しました。オリジナルエンディングノートは、下記からダウンロードできるので、ぜひダウンロードして一緒に書いてみてください。

▼ZIELオリジナルエンディングノート PDF版
▼ZIELオリジナルエンディングノート エクセル版

さて、自分の人生を振り返ることになったのはよいのですが、特に何か大きな出来事があったわけでもないですし、そもそも人生経験の前に、大して社会人経験も積んでいない……という気持ちでいっぱいです。
などといっていても話は進まないので、とりあえず書いてみようと思います!

実際に私が書いた自分の人生。ネタになる何かを探すも、普通である

書いてはみたものの、ごく普通に学生生活を送ってきたし、周りと同じように就活をして今の会社に入社したので、飛び抜けておもしろい人生ではありません。普通に生活してこれたことは幸せですが、このままでは原稿が書けないので、焦っています。

人生のどこかで留学を経験したり、シンガーソングライターを目指して地方から上京をしたり、超一流大学に入学していれば……と何度思ったでしょうか。

ただ、ここを見てください。

大学と今の仕事についての振り返り

大学は健さんのすすめで書道学科に入ったのです。それに、今の職業である編集者だって、健さんのすすめでなったんです。私の人生の進路を2回も決めているんですよ、健さんが!

ということは、私の人生を深く知っているのでは……? と思い、健さんに連絡してみることに。

ここまで健さんと何回もいってきましたが、紹介が遅れました。健さんは、高校時代に私が入部していたテニス部の先生です。部活をしていた当時はビシバシと厳しく指導を受けていましたが、普段はとてもフランクで、まるで孫のように接してくださいます。
連絡してみると、私について話をしてくれると快く受けてくれたので、会ってきました。

 

第三者の視点から見る自分の人生

花塚:久しぶり。

健さん:久しぶりだね。

花塚:こうして話すのは慣れていないから、笑いそうになっちゃうね。
突然だけどさ、自分で自分の人生を振り返ろうと思うんだけど、私って高校のとき、どんな人だった?

健さん:うん、突然だね。真面目に答えちゃう?

花塚:真面目にお願いします(笑)。

左:花塚、右:健さん

健さん:まず、君は名前がいいよね。

花塚:名前?

健さん:そう、名前がね。
俺はさ、担任でもなかったし、学年でも担当していなかったでしょ。だから、テニス部の名簿で見た名前しか君のことを知らなかったんだよね。「花塚水結」って字面が珍しいから、はじめてでもすぐ目についてラッキーな子だなって。それで一番はじめに名前を覚えたのよ。

花塚:たしかに、字面は珍しいかも。

健さん:それでさ、ある程度授業が進んで5月〜6月くらいになると、書道の先生が生徒の作品を学校中に張り出すんだよね。君、書道の授業を選択していたでしょ。だから、君の作品を廊下で見てさ。名前だけはわかるから、「あ、あの子が書いたんだ」ってすぐにわかった。

花塚:作品に名前書くからね。

健さん:そうそう。この子はテニスより字のほうがうまいんだなって思ったよ。

花塚:書道よりテニスやってるほうが長いのに……。

健さん:まぁでも、部活も真面目にやってたじゃん。

花塚:(食い気味に)やってたよ。

健さん:だからテニスもだんだん上手になったね。それでも俺は、字のほうが上手いと思っていたけど(笑)

花塚:……。

健さん:あとは、同じテニス部に入ってきた同期の子たちも真面目だったから、周りともうまくやっていくんだろうなぁって、安心していたよ。
そうして部活してたら、あっという間に3年生になって、君が「先生、進路どうしよう?」といってきたよね。「何をしたらいいかわかりません」って。

花塚:うーん……大学には行きたかったけど、やりたいことがわからなかったんだよね。

健さん:そうそう。だから君には書道しかないじゃないか、っていったわけ。

花塚:当時は、健さんのいってる意味がわからなかったよ(笑)。
大学に書道学科があることすら知らなかったし、それに「書道」は高校の授業でしかやったことがなかったから。小学校のときに「習字」は習っていたけど、やっぱり「書道」とは違うんだよね。それなのに「『書道学科に行け』って何?」と思っていたね。

健さん:そうだね。でも、大学の4年間って、大体遊んで終わってしまうことが多いでしょ。授業にも飽きてサボったりさ。
その点、書道は手や体を動かして字を書くわけだから、まぁ飽きないかなって。そういう理由もあって書道学科をすすめたわけ。

花塚:なるほどね。まぁ……遊んではいたけど(笑)。
でも、作品を書く授業以外にも、額装や美術の授業を履修して、「何かをつくる」ということをずっとしていた気がする。それが、私にとっては楽しかったな。

健さん:そうでしょう。君の場合、経済学部とかに行って授業を受けても「つまらないなぁ」と思い続けることになるなぁって思ったんだよ。そうした講義形式の授業は先生とのコミュニケーションもないしね。
書道学科ならそんなことはないだろうから、ぜひ進んでほしいと思ったわけよ。

花塚:入学前はここまで想像できなかったから、書道学科を受験することに少し後ろ向きだったけどね。でも、もしかしたら実家の石材店のためにもなるかもしれないな、と思って決めた気がする。

当時、学校の会議室で健さんに出された課題をこなしていた様子。小論文のほかに新聞の社説を要約する課題もあった

健さん:それで、受験勉強していこうってなったね。
3年生の7月に部活を引退してから受験までの4カ月くらいは、本格的に勉強させたけど、辛かっただろうね。

花塚:勉強といっても、公募推薦の試験内容が小論文と書道の実技だったから、その練習だったね。
健さんには小論文のお題を毎日もらって作文用紙2枚分にまとめてたし、実技は書道の先生に課題をもらっていた。来る日も来る日も字を書いてたな……。

健さん:最後には作文用紙が分厚い束になってたよね。
一般的なセンター利用や学部の入試試験だったら、合格する自信がなかったでしょう?(笑)

花塚:……。

健さん:だから、小論文と実技の試験で突破させるしかないな、と思って毎日やらせたんだ。

花塚:部活を引退したけど、夏休みも毎日学校に行って、書かないと帰してくれなかったよね。1回、文句をいってしまったことがあったくらい(笑)

健さん:そんなこともあったな(笑)。君もつらかっただろうけど、俺もお題を出すのはつらかったんだよ。毎日帰宅する車のなかで「明日のお題は何にしよう」と悩んでさ。

花塚:健さんもつらかったんだ。

健さん:そうだよ(笑)。
でも、受かってよかったよね。正直、落ちたらどうしようという不安もあった。

花塚:落ちたときのことはノープランだったからね。

健さん:公募推薦の受験結果が出るのは11月末とかだったよね。そこから一般的な受験勉強をさせて……うん、自信なかったな(笑)。

花塚:……。でも、後がなかったからこそ頑張れたんだと思う。結果的に、合格もできたし、本当によかったなと思っている。

 

君にスーツは合わない

健さん:入学してからも、展覧会に呼んでくれたり、連絡くれたりしたよね。

花塚:書道学科に行けっていった張本人には、やっぱり見てもらわないと、と思って。

健さんの待ち受け画面。高校時代のテニス部の部員と撮ったプリクラを今でも待ち受けに設定してくれている

健さん:そうね。なんだかんだ連絡取ってて、そのうち、就職の話になったよね。

花塚:うん、ファミレスで相談に乗ってもらったのを覚えてる。

健さん:就職の相談をされたときは、もうすでに内定をもらってたよね。
そのとき内定をもらっていたのが、不動産の営業職だったんだけど、君の性格からして長続きしないと思って、「やめとけ」っていった。

花塚:どうして長続きしないと思ったの?

健さん:不動産の営業ってさ、来る日も来る日も砂漠で水を探すような仕事で、かなりハードなんだよ。もちろん、そうした仕事が合っている人もいるんだけど、いくら給料がよくても合わない人には合わないからね。だから、僭越ながら、君にはその会社は向いてないよっていわせてもらった。

花塚:高校を卒業してもお説教をね……(笑)

健さん:それに、君は毎日スーツを着てネクタイをビシッと締めて、テキパキ働くような職場も合ってないよね。

健さん

花塚:(働く姿を見せたことがないのに、バレている……)今の会社は、格好の決まりが特になくて私服でいいから、気持ちがものすごく楽。
それで、編集職をすすめられたんだけど、それはどうして?

健さん:編集職は、何かをイメージしたりする仕事だったから、君がもともともっているよさが出ると思ったんだ。
こういう絵柄がいいとか、こういう構図がいいとか、それこそホームページをつくるとかさ。

花塚:うん、出来上がりを想像して何かつくるのは楽しい。

健さん:俺、意外に君のこと、わかっているよね。

花塚:そうですね、怖いくらいに(笑)

 

「これまで」から「これから」のヒントを得る

エンディングノートをきっかけに健さんとの再会を思い立ったわけですが、「私の軌跡」も案外捨てたものじゃないなと思いました。
大学も仕事も健さんの助言によって、自分らしい選択をできたと思っているので、健さんに出会っていなかった場合、今の自分が想像もできません。それにしても、私より私のことを知ってくれていて、感謝するとともに、何でもお見通しだったんだなと少し怖くなりました。

エンディングノートは、もしものときに備えて、実務的な事柄を書いておくイメージが強いので、書けば死が近づいてしまうような気持ちになる人が多いと思います。しかし、自分の人生を振り返る契機にもなるツールとしても利用できますし、たまには過去のことを思い出すのも、いいことですよね。

それに、「これまで」を振り返ることで「これから」を考えるヒントにもなり得るのではないでしょうか。まだまだ未熟な私は「これから」に課題が山積みですが……その課題に対してのヒントをつかめたのはよかったと思います。
何かを決断するときは、その先の「選択肢」で頭がいっぱいになりがちですが、「自分らしさ」を忘れないことが、いい決断に導いてくれるのではないでしょうか。最期まで自分らしく生きていきたいですね。

ただ、やはり大きな決断をするときには迷ってしまうのも人間です。この先、もしも私が結婚することになったら、そのときも、どうか健さんに助言をお願いしたいなと思っています。

みなさんも、人生の「これから」を考えるために、ぜひエンディングノートを書いてみてくださいね。

 

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