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12月からミニシアターで観られる映画5選

いつもとは一味違った、映画体験をあなたに

連載 スクリーンZIEL 2021.11.24

文:花塚水結

大きなスクリーンや、テレビ、スマホなどで映画を楽しめる便利な時代ではありますが、いつもより少しだけ特別な映画体験に、ミニシアターはいかがでしょうか?

ミニシアターとは、大手映画会社の直接的な傘下にない、独立系の映画館のこと。定員200人程度の小さな劇場で、全国上映されていないような小規模作品や、旧作を放映していることもあります。

一歩足を踏み入れれば、地域に密着していたり、こだわりの食べ物が売られていたりと、劇場ごとの個性も楽しめちゃいます! そんなミニシアターで12月から上映される作品を紹介します。気になった作品があったら、ぜひ劇場に足を運んでみてください。

 

【12月3日(金)公開】
人間は、「偶然」には勝てない――『悪なき殺人』

 

© 2019 Haut et Court – Razor Films Produktion – France 3 Cinema visa n° 150 076
©Jean-Claude Lother

フランスの人里離れた小さな寒村で、1人の女性が失踪し、殺されました。
容疑者として疑われたのは農夫・ジョゼフ。そんなジョゼフと不倫する人妻・アリス。妻・アリスに隠れてネット恋愛する夫・ミシェル。そして、遠く離れたアフリカで詐欺を行う男・アルマン。秘密を抱えた5人の男女は、1つの殺人事件の裏で絡み合い、偶然が連鎖し、やがて悪意なき殺人者へとなってしまうのでした――

© 2019 Haut et Court – Razor Films Produktion – France 3 Cinema visa n° 150 076
©Jean-Claude Lother

偶然の連鎖によって5000kmも離れた村で起こる殺人事件へ発展する……この謎めいた真相に今すぐ迫りたい! と思うミステリーファンも多いのではないでしょうか。私もあらすじを聞いただけで、興奮し背中がゾクゾクしました。
本作は、厳しい評価で知られるフランスの日刊紙「リベラシオン」で満点の星5を叩き出しており、カンヌ国際映画祭では、脚本賞と助演女優賞(ロール・カラミー)にノミネート、東京国際映画祭で観客賞を受賞、マリオンを演じた新人のナディア・テレスキウィッツは同映画祭で見事最優秀女優賞を獲得しています。この冬期待大の作品です。

『悪なき殺人』
公開日:2021年12月3日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・脚本:マルー・ライマン
出演:ダミアン・ボナール、ロール・カラミー、ドゥニ・メノーシェ、ナディア・テレスキウィッツ、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキほか
配給:STAR CHANNEL MOVIES(https://www.star-ch.jp/
公式サイト: https://akunaki-cinema.com/

 

【12月10日(金)公開】
クソみたいな人生の、そのおまけ『衝動』

 

©映画「衝動」製作委員会

舞台は2020年の東京・渋谷。名前を失った少年・ハチと声を失った少女・アイ。生と死のあいだで揺れ動く衝動を鮮明に描き出した青春サスペンスストーリーです。社会の片隅に生きる孤独な2人の出会いは罪か、罰か、それとも――

©映画「衝動」製作委員会

違法薬物の運び屋をして生計を立てている少年・ハチを演じるのは、倉 悠貴さん。映画『まともじゃないのは君も一緒』やNHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』と、話題作に次々と出演する、今大注目の若手俳優です。公開された予告動画の後半には、血まみれのハチが映されていたり、ポスタービジュアルにも描かれたコピーでは「クソみたいな人生の、そのおまけ」と語っていたりと、現代を生きる若者の孤独や焦燥がひしひしと伝わってきます
一方、失語症の少女・アイを演じるのは、見上 愛さんです。ドラマ『きれいのくに』(NHK)や『恋はつづくよどこまでも』(TBS)などに出演する新進気鋭の若手俳優です。そんな彼女が声を失った役をどのように演じるのか、期待が膨らみます。

『衝動』
公開日:2021年12月10日(金)より全国順次公開
監督・脚本・企画:土井笑生
出演:倉 悠貴、見上 愛、見津 賢、錫木うり、村上 淳ほか
配給:SAIGATE株式会社(https://saigate.co.jp/
公式サイト: https://saigate.co.jp/shodo/

 

【12月18日(土)先行上映】
横浜シネマ・ジャック&ベティ30周年企画映画『誰かの花』

 

©横浜シネマ・ジャック&ベティ30周年企画映画製作委員会

鉄工所に勤務する野村孝秋は、認知症により徘徊する父・忠義とそんな父に振り回される母・マチのことが気がかりで、実家の団地を訪れます。
強風が吹き荒れるある日、団地のベランダから落ちた植木鉢が住民に直撃する事故が発生し、救急車やパトカーが駆けつける騒動となります。幸いにも忠義は何事もなかったかのように自宅にいましたが、ベランダの窓は開いており、忠義の手袋には土がついていたのです。
認知症の父親を疑う孝秋と、亡くなった住民の家族。明らかになる偽りと真実。孝秋が見つけた1つの〈答え〉とは――

©横浜シネマ・ジャック&ベティ30周年企画映画製作委員会

ある日を境に、加害者や被害者になってしまう可能性は誰しもが持っているわけで、もしそうなった場合、どうしたら気持ちの整理がつけられるのか、はたまた、何をしても笑えなくなってしまうのか……。主人公の孝秋が見つける答えがとても気になります。
本作は横浜若葉町にて営業しているミニシアター「横浜シネマ・ジャック&ベティ」の30周年企画映画として制作され、12月18日~12月24日にシネマ・ジャック&ベティにて先行上映、2022年1月より全国で公開予定です。1歩踏み入れればアットホーム感を感じられるミニシアターで、ぜひ鑑賞してみてください

『誰かの花』
公開日:2021年12月18日(土)~12月24日(金)に横浜シネマ・ジャック&ベティにて先行上映、2022年1月29日(土)より全国順次公開
脚本・監督:奥田裕介
出演:カトウシンスケ、吉行和子、高橋長英、和田光沙、村上穂乃佳ほか
配給:GACHINKO Film(http://www.g-film.net/
公式サイト: http://g-film.net/somebody/

 

【12月17日(金)公開】
驚きと戸惑いの映画体験が、いま始まる――『偶然と想像』

 

©︎ 2021 NEOPA / Fictive

第74回カンヌ国際映画祭脚本賞など4冠に輝き、第94回米国アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表作品にも選出された、映画『ドライブ・イン・マイカー』。その監督を務めた濱口竜介さん初となる短編集です

「偶然」をテーマに、穏やかな日常が一転する3つの物語が織り成されています。親友同士の恋バナ、大学教授に教えを乞う生徒、20年ぶりに再会した旧友……。日常から一転、緊張感とともに引き出される人間の本性を丁寧に描いています。

©︎ 2021 NEOPA / Fictive

本作のオンライン試写会に招待してもらい、一足先に鑑賞してきました。
3つの物語に共通するのは、「とある偶然を境に日常が一転」すること。思わず「えっ!?」と声を出してしまいそうなほどの驚きと戸惑いの連続で、不思議な感覚に陥りました。

第3話『もう⼀度』では、20年ぶりに再会した夏⼦(占部房⼦)とあや(河井⻘葉)が興奮のままに会話を繰り広げ、やがて予想だにしていない偶然により関係性が一変してしまいます。その偶然に気づいたときの占部房⼦さんの戸惑いの演技には、こちらもゴクリと唾を飲み込まずにはいられないほど動揺してしまいました。

「この後どうなるんだろう?」という思考がプツンと切れ、ただ動揺してしまう体験は本作でしか味わえません。ぜひ、劇場に足を運んで観ていただきたいです!

『偶然と想像』
公開日:2021年12月17日(金)よりBunkamura ル・シネマほか全国順次公開
監督・脚本:濱口竜介
出演:(第一話)古川琴音、中島 歩、玄理/(第二話)渋川清彦、森 郁月、甲斐翔真/
(第三話)占部房子、河井青葉ほか
配給:Incline LLP(https://incline.life/
配給協力:コピアポア・フィルム(https://copiapoafilm.com/
公式サイト: https://guzen-sozo.incline.life/

 

【12月24日(金)公開】
そしてパパは女性になった――『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』

 

© 2019 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

デンマークの郊外で暮らす11歳の少女・エマは、地元のサッカークラブで活動し、幸せな家庭で充実した生活を送っていました。ところがある日突然、両親から離婚することを告げられます。しかも、離婚の理由は「パパが女性として生きていきたいから」。ホルモン治療で日に日に女性らしくなり、性別適合手術を受けるというパパを受け入れられず、「大嫌い。パパなんか死んじゃえ!」と複雑な感情を爆発させてしまいます。しかし、そう叫びながらも本当はパパが大好きなエマ。葛藤した末に気づいた本当の自分の気持ちとは――

© 2019 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

本作はマルー・ライマン監督の実体験にもとづいて紡がれた作品とのこと。昨今、セクシュアルマイノリティを題材にした作品は数多く発表されていますが、セクシュアルマイノリティの当人ではなく、その娘の視点で描いたというのがライマン監督ならでは視点であり、とても新鮮です。家族から「思っていたのとは異なる性別」であることを告げられたら、混乱してしまうと思います。ましてや主人公は11歳の女の子。複雑な気持ちにどう整理をつけていけばいいのかわからないと思います。そんな気持ちを救ってくれるのは、きっと「愛」なのでしょう。本作ではどのように家族愛が描かれるのか、少女の繊細な心情の描写はどのように表現されるのか、とても楽しみです

『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』
公開日:2021年12月24日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督・脚本:マルー・ライマン
出演:カヤ・トフト・ローホルト、ミケル・ボー・フルスゴー、リーモア・ランテ、ニール・ランホルト、ジェシカ・ディネジ、ハデヴィヒ・ミニスほか
配給:エスパース・サロウ(http://www.espace-sarou.co.jp/
公式サイト: pnf.espace-sarou.com

 

いかがでしたでしょうか? 普段、テレビや街の広告ではなかなか知る機会がない作品も多くあったと思います。みなさんの気になる作品や、おすすめのミニシアターをぜひコメント欄で教えてください!

 

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